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★9つの歳の差に恋した話

note / 3/13/2026

💬 OpinionIdeas & Deep Analysis

Key Points

  • 物語の中心は、9歳差の恋愛という設定を描く点である。
  • 著者は相楽 葵(さがら あおい)で、2026年3月12日にノート上で公開された。
  • 記事は見出し画像を含むノート形式の個人的な語りで、17件のいいねがあることが示されている。
  • 年齢差に対する社会的な見方と個人の感情を探るテーマが含まれている。
見出し画像

★9つの歳の差に恋した話

17

——

「あれは中3の春……始業式だった……」

「……ほう。いきなり回想に入ったな」

「あのね、先生との出会いは、始業式の後の、新任の先生を紹介するコーナーでさ。
新しく入ってきた先生たちが、体育館のステージに勢揃いしててね……」

「……」

「一目惚れだった。」

「……早いな。」

「……すっごい、イケメンだったから。」

「……見た目から入ったのか?」

「あれだよ。ビビっ!!って感じちゃった♡的な……」

「……いつのネタだ、それ。」

「でね……更にびっくりだったのは、その先生がわたしのクラスの副担任になったことなんだよ。」

「……それは、確かに運命っぽいな。」

「先生は新卒で……でも、1年浪人してたから24歳。わたしより9つ上。しかもね、わたしのクラスの国語の教科担任だったの!」

「なるほど。条件が揃いすぎている。」

「わたし、国語係だったからさ……
必然的に先生と接する機会が……
つまり!!
アタックチャンスがいっぱいあったんだよ✨」

「……お前、その頃からそんな戦略的だったのか。」

「戦略的って……www
わたしはいつだってピュアガールなんだってば!

でね、わたしの仕事は、先生に次の日の授業の予定を聞きに行ったり、宿題を集めて先生のところへ持っていくことだったんだけど……」

「うん。」

「それだけじゃ済まなかったよね……」

「……ほう?」

「本当はみんなが帰る前に予定を聞いて、予定表の黒板に書かなきゃいけなかったんだけど……」

「……お前、まさか。」

「放課後聞きにいって、職員室に入り浸ってた。」

「……放課後、毎日か?」
「そう!毎日!」

「……部活は?」

「スケート部。なお、一度も活動したことない。実質帰宅部」

「は??なんだその表向きはちゃんとしてますみたいな部は……」

「クラスにスケートの強化選手がいた。その人のために作られた部活。部に属してないと大会出れないんだって。部員2人」

「で……お前は、活動がないことを盾に、あざとく放課後の自由を手に入れたわけか……」


「てゆか!
そんなことはどうでもいいの。
先生との話聞いてよー!

先生とはね、いろんな話してたし、宿題のノートの片隅に、先生に毎日メッセージとか書いて……」

「……」

「お返事もらって……交換日記みたいなことしてた。」

「……なるほど。」

「なにその反応。」

「いや……」

辻本はペンをくるりと回しながら、少し呆れたように笑った。

「思っていたより、だいぶ本格的な恋だったんだな。」

「先生ね、わたしより9つも歳上のはずなのに、生徒の中に紛れても、馴染んじゃうくらい若くて……いや、子供っぽい?
いつも明るくて、おひさまみたいに笑う人だった……」

「……なるほど。人気が出そうなタイプだな。」

「でもね!授業になると声のトーンが少し低くなって……イケボになるんだよ……!!」

「……」


「辻本……顔……。」

「いや……」

辻本は少しだけ肩をすくめる。

「お前の語彙がだいぶ現代寄りだなと思って。」

「うるさいなぁ!だって本当にそうだったんだもん!」

「……まあいい。それで?」

「わたしね、宿題大嫌い、漢字大嫌いだったから、中2の時まで宿題をほぼ提出してこなかった。」

「……問題児じゃないか。」

「いや〜///それほどでも♡」

「……褒めてない」

「それでも国語のテストは70点〜80点代は取れてたから、困ってはなかったんだけど……」

「ふむ。」

「先生が教科担任になってからは、宿題毎日やってくようになったの!」

「……そうか。よかったな……お前の救世主じゃないか……」

「でね……テストの結果も、毎回90点代。最高で98点を叩き出して、学年上位になった!……国語だけwww」

「……」

辻本はペン先を止め、ゆっくり顔を上げた。

「なるほど。」

「なに?」

「つまりお前は」

少しだけ口元を緩める。

「好きな男のためなら努力できるタイプなんだな。」

「そうなの♡
……愛の力って、偉大だよねぇ。
ちなみに数学は35点だった。」

「……」
「で?そのアプローチで先生からは何か反応はあったのか?」


「……あったといえばあったというか……」

「ん?」

「文化祭のとき、友達数人で回ってたら、先生が仲間に入ってきたの。
プラネタリウムの展示してるクラスに一緒に入って……」

「……文化祭の定番だな。」

「友達は、はしゃいで先に行っちゃったんだけど……先生が隣にいてくれて……」

「ほう。」

『このままふたりで、
あいつらとはぐれちゃうか?』

「みたいなことを言われてドキドキした……」

「……それは、中学生には破壊力が高いな。」

「でしょ!?」

「あと……指を紙で切って怪我した時……
先生に見せたら、絆創膏貼ってくれた……」


「渡されたんじゃなくて?」

「貼ってくれたの!!指、出してみ?って!
ズルくない!?沼落ち確定でしょ、こんなの!」

「……」

辻本はペン先を止める。

「それは、確かにズルいな……」

「でしょ!?」

「あと、校庭で体育祭の練習してる時、
わたしが体調悪くなった時ね……
先生がわたしの側に来てくれて、保健室連れてってくれた……」

「うん。」

「その日は曇りで、先生は傘を持ってて……
わたしは先生の後をゆっくりついて行ったんだけど……」

「……」

「先生、振り返りながらわたしに傘の柄の部分を差し出してくれて……」

「……」

「わたしはそれを掴んで、先生に手を引かれながら、一緒に歩いてった……。
手を繋いでるみたいでドキドキした」

辻本はふっと小さく笑う。

「……完全に青春だな。」

「でしょ?」

「あと……わたしにとっては、ちょっと難しめの私立高校の受験をした時ね。」

「うん。」

「先生が合否を知らせに来てくれた……
わたしにだけ。
葵!受かったぞ!って……」

「……ほう。」

「……他の人も受かってるのに……ちょっとクラスがざわついてた……」

「だろうな。」

「けど、嬉しかったんだ……」

辻本は少しだけ考えるように視線を落とす。

「……まあ」

ペンを軽く回す。

「それは、お前が特別だったからかもしれないし」

「……」

「あるいは」

少しだけ口元を緩める。

「お前がそう思いたくなるくらい、ちゃんと優しかった先生だったんだろうな。」

「……
わたしね、卒業する前には、ちゃんと先生に告白しようって決めてたんだ。」

「……ほう。ついに決行する気になったわけか。」


「それで……その事を友達に相談してて……
ちょうどその子の家で、他の女の子たちとお泊り会しようってことになってたんだけど……」

「中学生の定番イベントだな。」

「夜に男の子数名も遊びに来てね……
まあ、ちょっと……
あまりよろしくないお茶会みたいなことになりまして……」

「……なんとなく察した。」

「みんな浮かれながら、テンション高めの恋バナになったんだけど……」

「まあ、そうなるだろうな。」

「まあ、みんな口が軽くなってたのよね。」

「下ネタとか噂話がぽんぽん飛びかってた」

「……嫌な予感しかしないな。」

「でね……その中で……
その……先生がね、3年の生徒と付き合ってるって噂!知ってる?って話になって……」

「……」

「友達みんなが、
えーっ!て、なってたんだけど……」

「うん。」

「正直……
わたしのことかもって思った。
つきあってはないけど。
先生のまわりうろちょろしてたのわたしだけだし……」

辻本は少し眉を上げる。

「……随分、自信があったんだな。」

「で、男子たちが帰ったあと……」

「うん。」

「友達に……」

『さっき言ってたのって、絶対に葵のことだよ』

「って言われて……」


「……」

「調子乗って卒業式の前の日に告白しました……」

「わたし……。小学生の頃、少女漫画ばかり読んでたから、もはや"わたしがヒロイン"脳だったんだよ。」

——

叶わなくても、届かなくてもいい。
夕暮れの誰もいない教室で告白をする……

それは、葵の最も憧れとするシチュエーションであったのだ……


つづく。



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