IT大手各社が地方銀行などの地域金融機関向けに、セキュリティー総合サービスの提供を相次いで開始した。サービス内容はサイバー攻撃の脅威動向などの情報共有から業務用端末・システムの監視まで広範にわたる。セキュリティー人材や知見が必ずしも十分でない地銀などへの支援を通じ、金融事業の新たな顧客獲得を図る。「Claude Mythos(クロード・ミュトス)」の登場でセキュリティーへの脅威が高まったことも、IT各社には思いがけず追い風となりそうだ。
「Claude Mythosは従来のAI(人工知能)に見られなかった戦略的な欺瞞(ぎまん)や証拠隠滅を伴う、ステルス的な挙動を示すと言われている。金融機関の業務特性を熟知した攻撃をすることも考えられる」――。
2026年4月下旬、東京・虎ノ門の日本IBM本社で開催された地域金融機関向けのコンソーシアム。会場を埋め尽くしたのは全国各地から集まった金融機関の関係者たち。日本IBMのセキュリティー部門幹部の講演を真剣な面持ちで聞いていた。
このコンソーシアムは、同社が2026年2月に提供を始めた「地銀セキュリティー共同プラットフォーム」の一環として設けた情報交換の場だ。日本IBM担当者の講演だけでなく、参加した金融機関の関係者同士で情報交換できる場も設けているという。参加者は自社のセキュリティー体制や取り組み、インシデント対応などを率直に共有し、相互に学びを得られるようにしている。
「当社が器を用意して地域金融機関に乗っていただくのではなく、知恵・仕組み・人を共同利用する共生型のプラットフォームを指向している」。日本IBMの笠井健太コンサルティング事業本部金融サービス事業部パートナーは、地銀セキュリティー共同プラットフォームの狙いをそう語る。
日本IBMは年に2回ほどのコンソーシアムなどで情報提供・交換の場を設けるほか、WAF(Webアプリケーションファイアウオール)などの製品・サービス、耐量子計算機暗号(PQC)の導入支援などのコンサルティングを地域金融機関に提供する。金融機関の社内システムの統合監視サービスなども今後提供する予定だ。
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