JA全農(全国農業協同組合連合会)は、佐賀市にある圃場でキュウリの自動収穫ロボットを本格導入した。安川電機と約5年にわたって共同開発したもの。茎になっている収穫適期のキュウリを多数のカメラで自動的に探し出し、ロボットアームで茎から切り取って収穫する(図1)。圃場の一区画を割り当てておけば、そのゾーン内での収穫、運搬を全自動でこなす、いわゆる移動マニピュレータ型のロボットである。
キュウリは生育速度が非常に速い作物で、ほぼ連日収穫作業が発生。人手不足が深刻化する中、キュウリの生育速度にスタッフ数が追い付かないこともあるほどだ。収穫ロボットを利用することで、こうした状況を緩和できる。JA全農としては、施設園芸の栽培ハウスなどとパッケージ化し、全国のキュウリ農家への普及を目指す。
導入したのは、JA全農が佐賀市に保有する施設園芸の拠点「ゆめファーム全農SAGA」である。JA全農は各地の農協(JA、農業協同組合)を束ねる全国組織で、農産物・畜産物の販売、農業用資材の購買・供給などを担う。農産物の生産自体は各地の農家が行っており、JA全農の本業ではないが、農業を支援するための技術開発はJA全農が実施しており、ゆめファーム全農SAGAを開設したのもその一環だ。なお、収穫したキュウリは全量、地元の佐賀のJAを通して通常ルートで出荷しており、店舗などに並んで売られている。
生産減で価格高騰
日本ではここ20年ほどで園芸用施設(ハウス栽培)が減少し続けており、生産量も25%減少している。日本は人口が減少しているため、ハウス栽培の野菜の消費量自体も減少しているが、生産量の減少は消費量を上回るペースで進んでいる。この需給ギャップがトマト、ナス、キュウリといったハウス栽培の野菜の価格上昇の一因となっている。消費ニーズに追い付くよう、ハウス栽培野菜の生産効率向上が必要である。
JA全農はこの課題に対処するため、新しい栽培技術の実証施設「ゆめファーム全農」を各地に開設。トマトについては2014年に栃木に、ナスについては2017年に高知に、それぞれゆめファーム全農を開設した。
今回の佐賀市にあるゆめファーム全農SAGAは、キュウリに特化した施設として2019年12月にオープンした。キュウリの有力な農家が近くにあり協力を仰げること、農作物の光合成の元となるCO2(二酸化炭素)や温度調整用の熱源を、隣接したゴミ焼却場から安定的に供給できるといった条件が重なり、佐賀市のこの土地が選定された(図2)。
このゆめファーム全農SAGAは、実はハウス栽培のキュウリ農家の間では著名な施設だ。
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