東京工科大学は、自動運転バスの実用化を加速させる。まずは同大学が運行している通学用バス(スクールバス)について早期の自動運転化を目指す。将来的には、他大学への技術供与や、同大学が立地する東京都八王子市の地域交通支援も視野に入れる。
同大学は、八王子キャンパスー八王子みなみ野駅間、及び八王子キャンパスー八王子駅南口間の2ルートでスクールバスを運行している。そのうち八王子みなみ野駅ルートから自動運転化に着手する。同ルートは周回型のルートで、ほぼ直進と左折で構成されているため、自動運転化しやすいと判断した。
「E2E」も検討
2026年3月9~10日に実ルート(公道)で実証実験を行った。乗車したのは主に同大学の教員で、学生は乗せていない。それに先立って同月7日には、八王子市長の初宿和夫氏や同大学学長の香川豊氏、報道陣を乗せて走行する「試乗会」を行った。
プロジェクトを主導するのは、同大学未来モビリティ研究センター長、教授の須田義大氏。自動運転やMaaS(次世代移動サービス)研究の「大家」である。自動運転研究を強化したかった東京工科大が熱心に招請し、2025年4月から現職を務める(同年3月に東京大学を定年退職し、現在は名誉教授)。
試乗会を含め実証実験は、人(ドライバー)の監視が伴う「レベル2」で行った。歩行者や車両などの認識にはAI(人工知能)を用いているが、判断にはAIを用いていない。事前に設計したアルゴリズムに基づいて運転操作を決定する、いわゆる「ルールベース」である。自動運転システムは、先進モビリティ(茨城県つくば市)が開発した。同社は、須田氏らの研究成果を社会実装することを目的に2014年に設立された東京大学発のベンチャーだ。自動運転バスのベース車両には、日野自動車の「ポンチョ」を用いた。
認識に用いるセンサーとしては、10台のカメラや8台のLiDAR(レーザーレーダー)、GNSS(全球測位衛星システム)、慣性センサーなどを搭載している。加えて、ルート上にGNSSの電波信号を受信できないエリアが存在することもあって、ルートの詳細地図も保持している。記者が乗った試乗会でも、ほとんどのエリアはGNSS情報を基に走行していたが、一部のエリアでは自己位置の情報源を詳細地図に切り替えていた。
須田氏は、将来的にドライバーの監視が不要な「レベル4」を目指すと語った。加えて、レベル4の実現には、判断も含めてAIを全面的に活用するEnd-to-End(E2E)技術が有力なアプローチであるとの認識も示した。ただし、レベル4に移行する時期、E2Eを採用する時期などについては明言していない。また、東京工科大としてもスクールバスを自動運転化する時期の目標を明らかにしていない。
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