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技術基準の「~するのがよい」は努力目標? 橋梁設計で解釈違い

日経XTECH / 3/18/2026

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Key Points

  • 群馬県の外城橋で会計検査院が橋台の強度不足を指摘し、設計者の“努力目標”解釈が問題とされた。
  • 道路橋示方書・同解説のコンクリート耐力と鉄筋耐力の合算規定と、鉄筋負担を約5割以下に抑える目安の適用が争点となり、鉄筋耐力が基準を超えたため基準未達と判断された。
  • 橋座部の耐力偏りにより地震時の水平力でコンクリートが破壊されるリスクが指摘され、安全性への懸念が生じた。
  • 本事例は設計基準の解釈・適用の明確化が求められるケースで、今後の監査・設計実務に影響を及ぼす可能性がある。

群馬県が架け替えた橋梁の橋台が、会計検査院から強度不足と指摘を受けた。設計者は基準書に示された鉄筋量の設定を努力目標と解釈。しかし、検査院はその解釈を認めず、基準を満たしていないと判定した。

 検査院から強度不足と指摘を受けたのは、群馬県が2020~21年度に同県安中市で建設した外城橋(がじょうはし)。秋間川に架かる橋長36.5m、幅員10mのPC(プレストレストコンクリート)単純合成桁橋だ。設計は建設コンサルタント会社に委託した。

外城橋の全景。右奥に見えるのが耐力不足と指摘されたA1橋台(写真:日経クロステック)
外城橋の全景。右奥に見えるのが耐力不足と指摘されたA1橋台(写真:日経クロステック)
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 問題があったのは、左岸側のA1橋台に設けた固定支承部。橋台と桁との水平方向の変位を制限するため、直径75mm、長さ1.67mのアンカーバー9本を、橋座部の3カ所に3本ずつ垂直に打ち込んだ。アンカーバーの上部は横桁の内部に収まっている。

橋座部の概念図
橋座部の概念図
(出所:会計検査院の資料を基に日経クロステックが作成)
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 設計の基準とした「道路橋示方書・同解説」(日本道路協会)では、桁からの水平力に対する橋座部の耐力について、コンクリートが負担する耐力(以下、コンクリート耐力)と補強鉄筋が負担する耐力(以下、鉄筋耐力)を合算するよう規定している。

 さらに、以下のようにも記載している。「補強鉄筋の負担分が橋座部の耐力の5割程度以下となるようにアンカーボルト取り付け位置と補強鉄筋の量を設定するのがよい」

 設計者はアンカーバー3本にかかる橋軸方向の水平力を2170kNと算出。コンクリート耐力を605kN、鉄筋耐力を1738kNとなるように設計し、両者を合わせた橋座部の耐力は水平力を上回るとしていた。

 しかし、この設計では鉄筋耐力が橋座部の耐力の5割を大幅に超えている。そのため、検査院は示方書の基準を満たしておらず、橋台が所要の安全度を確保していないと指摘した。

会計検査院の指摘内容
会計検査院の指摘内容
(出所:群馬県の資料を基に日経クロステックが作成)
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 応力負担の偏りによって、地震時の水平力で橋座部のコンクリートが破壊される恐れがある。

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国土交通省の判断は…

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