米AI審査、90日→30日に短縮。EU・日本との溝が広がる
AI規制動向レポート(AI大全)2026年6月2日(米現地時間)、ドナルド・トランプ大統領は中国との競争を阻害しかねないとの懸念を理由に、対策を緩和したAI監督に関する大統領令に署名した。モデル公開前の政府検証期間は従来案の90日から30日へ短縮され、企業・政府向けに「AIサイバーセキュリティ・クリアリングハウス」も新設される。連邦の包括的AI法は存在せず既存法と各分野の規制で対処という基本構造はそのまま維持されつつ、連邦レベルの安全評価は「自主提出+短期間レビュー」型に寄せた形になる。EU AI Act(高リスク用途を網羅的に規制)や日本のソフトロー中心アプローチとの差はむしろ広がり、グローバルに製品提供する日本企業はEU・米国・日本で別の遵守体制を用意する必要性が一段高まった。なお評価・審査の運用ルール自体はまだ細部が固まっておらず、ガバナンス整備としては未完と見るのが業界側の評価。
今年5月末まで、米国でも新AIモデルを公開する前に「90日間の政府検証期間」を設けようという案が動いていました。EU AI Actとは設計が違うものの、「国が事前に目を通す」という発想は共通していた。日本のソフトロー(ガイドライン中心)と比べると、米国も少し厳格化する方向に向かうと見られていた時期がありました。今回、その方向が大きく転換しました。
グローバルにサービスを出す企業は、EU・米国・日本で「別の遵守体制」を明示的に設計する必要が出てきます。EU向けには高リスク用途の証跡(ドキュメント・ログ)、米国向けは自主的なリスク管理と分野別規制の把握、日本向けはガイドライン準拠という3枚立てです。米国市場だけのスタートアップには「審査が早く済む」という短期的追い風もあります。ただし審査の運用細則はまだ固まっておらず、何をどう出せばいいかは年内もしばらく不透明なはず。